「電帳法対応はやらなければいけない義務」——そう捉えてきた中小企業・フリーランスにとって、潮目が変わります。令和7年度税制改正で、**使う会計システム次第で「罰が軽くなる」「控除が取れる」**という、初めて”実利”が紐づく見直しが入りました。適用は2027年から。つまり、いま準備に使える猶予があります。

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※タイトルの「節税になる」は改正の方向性を指すもので、適合システムの具体的要件・対象ソフトは2027年の適用に向けて国税庁の告示等で定まります。現時点で特定の会計ソフトが自動的に優遇対象になると断定はできません(詳細は後述)。


この記事のポイント(3分で把握・読了目安5〜7分)

  • 令和7年度税制改正で、「国税庁長官が定める基準に適合するシステム」で電子取引データを保存していると、(1)不正時の重加算税10%加重の対象から除外され、(2)青色申告特別控除65万円の要件も満たせるようになる。いずれも2027年から適用
  • これまで「義務・コスト」だった電帳法対応に、初めて**「罰則減免」と「控除」という実利**が紐づいた——会計システム選びが税負担に直結する転換点。
  • ただし「適合システム」の具体的要件・対象ソフトは今後の告示等で確定。ベンダーの「電帳法対応」表記と即イコールではない。
  • 今日の一歩:電子取引データの保存方法を棚卸し → 使用ソフトの改正対応方針を確認 → 顧問税理士に「対象見込み」を質問。

何が変わったのか:2つの「実利」

令和7年度税制改正の電子帳簿等保存制度の見直しで、納税者にとって特に大きいのは次の2点です。いずれも**「国税庁長官が定める基準に適合するシステム」**を使って電子取引データを保存していることが条件になります。

改正項目内容適用時期
重加算税10%加重の除外適合システムで一定要件を満たして電子取引データを授受・保存している場合、不正があっても重加算税の10%加重の対象から除外2027年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税
青色申告特別控除65万円の要件追加従来の「優良な電子帳簿の保存」または「電子申告」に加え、適合システムでの電子取引データ保存者にも65万円控除を適用可2027年分以後の所得税

出典:財務省「令和7年度税制改正の大綱(7/9・納税環境整備等)」、各税理士事務所(JIIMA・マネーフォワード・税理士.ch等)の改正解説。

ポイントは、これまで「対応しないと罰がある(守り)」だけだった電帳法に、「対応すると益がある(攻め)」という側面が加わったことです。重加算税の加重除外は”罰の軽減”、65万円控除は”益の獲得”。攻守の両面で、システム選びがそのまま税負担に効くようになりました。


なぜ「システム選び」が重要になるのか

ここでの肝は、優遇の条件が**「正しく記帳しているか」だけでなく「どんなシステムで保存しているか」**に置かれた点です。

従来、青色申告特別控除65万円を狙うには「優良な電子帳簿」の要件を満たすか、e-Taxで電子申告する必要がありました。今回の改正では、国税庁長官が定める基準に適合するシステムで電子取引データを保存している人も、その仲間入りができます。

同様に、重加算税の10%加重——これは隠蔽・仮装があった場合の重いペナルティです——についても、適合システムでの適切な保存が”加重しない”側に働きます。

ちょうど国内の会計SaaSも、2026年にかけて自律型AI機能を相次いで投入しています。税理士向けの記帳〜申告書ドラフト自律実行(関連:freee 統合ワールド 2026の3つの転換点)や、Draft & Approve型のバックオフィス自動化(関連:マネーフォワード「AI Cowork」のガバナンス設計)といった動きです。こうしたAI機能の進化と、改正が求める「適合システムでの保存」が今後どう接続するかが、システム選びの実務上の論点になります。

つまり2027年以降は、「会計ソフトを何にするか」が、コンプライアンス対応であると同時に節税・リスク低減の意思決定になります。これは制度の趣旨である「デジタルシームレス制度」(取引先を含めた一連の業務・会計処理をデジタルでつなぐ税務DX)とも一致する方向です。


ここは「確定していない」ことに注意(事実と見通しの分離)

実務に落とすうえで、現時点で線を引いておくべき点があります。

  • 【事実】 改正の枠組み(重加算税加重の除外・65万円控除の要件追加・2027年からの適用)は税制改正大綱で示されています。
  • 【まだ確認が必要】 「国税庁長官が定める基準に適合するシステム」の具体的な要件や、どの会計ソフトが対象になるかは、今後の国税庁の告示・通達等で詳細が定まる部分です。「freeeだから」「マネーフォワードだから」自動的に該当する、と現時点で断定はできません。

この線引きは重要です。ベンダーの「電帳法対応」表記と、改正で求められる「国税庁長官が定める基準への適合」は、必ずしも同じ意味ではありません。最終的には公表される基準と、各社の対応宣言を突き合わせて確認する必要があります。


中小企業・フリーランスが今日できる1つのこと

2027年からの適用なので、慌てて乗り換える話ではありません。今日できる現実的な第一歩は1つです。

いま使っている(または導入を検討している)会計ソフトが、改正後に「国税庁長官が定める基準に適合するシステム」として扱われる見込みかを確認する。具体的には、

  1. 電子取引データの保存方法を点検する:メール添付PDF・クラウド請求書・EC領収書などを、今どこに・どう保存しているか棚卸しする
  2. 使用ソフトの「改正対応方針」を確認する:各社が令和7年度改正への対応をどう案内しているかをチェックする
  3. 顧問税理士に1つ質問する:「2027年の電帳法改正で、うちが使っているシステムは”国税庁基準適合”の優遇(重加算税加重の除外・65万円控除)の対象になりそうですか?

特に3つ目が効率的です。改正の詳細は専門家が追っているため、自分でゼロから調べるより、顧問税理士に対象見込みと準備事項を確認するほうが速く正確です。

CPA監修コメント:今回の改正は「優良な電子帳簿」や電子申告と並ぶ選択肢が増えた、という理解が実務上わかりやすいです。65万円控除を確実に取りたい個人事業主は、現状の保存方法が改正後の要件に届くかを2026年内に一度棚卸ししておくと、2027年の申告でつまずきません。なお、適合システムを使っていても、隠蔽・仮装そのものが許されるわけではない点(加重の除外であって不正の免責ではない点)は誤解のないように。

会計ソフトをまだ導入していない、または乗り換えを検討している場合は、改正対応やAI自動仕訳・電子取引データ保存の機能を無料で試せるこのタイミングが、比較検討の好機です。

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まとめ

  • 令和7年度税制改正で電子帳簿等保存制度が見直され、「国税庁長官が定める基準に適合するシステム」での電子取引データ保存に実利が紐づいた
  • 重加算税10%加重の除外(2027年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税)と青色申告特別控除65万円の要件追加(2027年分以後の所得税)が柱
  • 電帳法対応が「義務・コスト」から「罰則減免+控除」へ性質を変える転換点。システム選びがそのまま税負担に効く
  • ただし「適合システム」の具体的要件・対象ソフトは今後の告示等で確定。ベンダーの「電帳法対応」表記と即イコールではない
  • 今日の一歩:電子取引データの保存方法を棚卸し → 使用ソフトの改正対応方針を確認 → 顧問税理士に「対象見込み」を質問

2027年からの制度ですが、準備は2026年のうちに。「義務だから仕方なく」から「優遇を取りに行く」へ、システム選びの目線を一段上げておくことが、最も再現性の高い備えです。


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